１、幽霊を知らせた犬
２、詐欺師を知らせた犬
１、幽霊を知らせた犬
Ａさんは、通い慣れている真っ暗な山道を
歩いている時のこと、愛犬が頑なに
Ａさんの後を付いていくことを拒否したそうです。
誰も通らないような夜の山道だったので、リードを
使わずに、一緒に歩いていたのですが、
どうにも付いてきません。
振り返ると犬は、一歩も動いていません。
普段は、そんなことがない子だから、自由にさせて
いるのに、付いてこないと困っていたら、今度はＡさんを
追い抜いていきます。
しかも、別れ道で、いつもと違う道に行きます。
木々の隙間から時折照らし出す月に照らされ、
残像のような白い愛犬の後を仕方なく追いかけて
いくしかありません。
付かず離れず先を行く愛犬を追いかけているうちに
いつの間にか、いつもの道に出ていたのです。
愛犬の方が正しい道を歩いていたのです。
Ａさんが正しい道と思い込んでいた別れ道の
反対側からは、しばらくして遺体が発見されたそうです。
呼ばれてそちらに行っていたら、どうなっていたのか
知る由もありませんが、愛犬は、何かを感じ取って
必死だったのでしょう。
２、詐欺師を知らせた犬
Ａさんと愛犬の間には、もう一つの逸話があります。
Ａさん夫婦が別荘地に住んでいた時に、同じ別荘地に
別荘を持っていた夫婦が、いきなり別荘の売買について
持ち掛けてきたそうです。
最初は、いきなり焼肉セットを持ってきて一緒に食べようと
言って近づいて来たそうです。
焼肉ですから、Ａさんの犬も喜びそうなものですが、
その時は、肉に目もくれずに、尋ねて来た夫婦に向かって
吠え続けたそうです。
すると、その夫婦は、あからさまに嫌な態度を示したので
焼肉は、中止になったそうです。
その後しばらくして、焼肉セットを持って来て訪問して来た
夫婦は、別荘地専門の不動産詐欺を働く人だったと判明
したそうです。
Ａさんの愛犬は、１年に１度「ワン」と吠えるか、吠えない
くらいの犬らしいのですが、この時だけは、ずっと吠え
続けていたらしいのです。
霊、生きている人問わず、悪意に対して敏感に反応して
知らせる、とても賢い犬だったかも知れません。