彼の物語についての補足

彼の物語が義父なのは、「継父ではないよ」と言う意味が

あります。

彼の物語は、あくまでも彼の物語ですから、継父とは、

書かないのです。

これだけで終わると記事にならないので、少し思っている

ことを書きます。

「普通なら…逃げ出すか、倒れるかする。

何故、頑張れた?

何故、笑顔を出せた?

何故、礼儀正しく居られたの?」

この言葉を読んだ時に、大昔の事件を思い出しました。

ある悲しい女性のお話です。

その女性は、子供頃からの恵まれない家庭環境の影響で、

いじめられることがあり、様々な職場を流れて、最後は、

ある夫婦が経営しているスナックに流れ着きます。

住むところにも困っていた、その女性は、住み込みで働くことに

なりますが、次第に経営者夫婦は、彼女に対する当たりが

きつくなり、やがて虐待行為とも言える言動が日常化します。

そして最後は、警察の人が顔を背けるような状態で発見

されたそうです。

当然、彼女は、亡くなっています。

このような事件と彼が逃げ出さずに消されるまで頑張ってしまった

姿が心の中で重なってしまいます。

もし、一人でも庇ってくれる人がいたら、そのような経験を

損得抜きでする機会が1度でもあれば、逃げ出すことが

出来たかも知れません。

もしかしたら、彼は、無条件に受け入れてもらえると言う経験が

なかったのかも知れません。

常に何かを周囲に与えることで、自分自身の居場所を得ることが

出来るという方程式みたいなものが、彼の無意識の中に出来上がって

いたのかも知れません。

何もせずに、何の意味もない状態で、自分自身の居場所が得られる

という状態は、幼少期から、少なかったのかも知れません。

彼は、救世主なんかでは、ないと思っています。

自由に生きたかっただけだと思います。

どうしたら、自由が得られるのか?

どのような代償を払えば良いのか?

悩み続けていたと思います。

当たり前の自由を生きるのに誰の許しも必要ない、と言うことが

許されない状況で育ったのかも知れません。

ずっと、そんな感じで、最後の日を迎えてしまったのかも知れません。

もちろん、何度も自由になろうと試みたのです。

その度に、更に強く繋がれてしまったのでしょう。

彼を逃すまいと、繋ぎ続けた人たちは、スナックの夫婦と同じです。

彼が力強く賢くなればなるほど、鎖は、太くなっていったのでしょう。

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