ウエイト版のタロットにおける女教皇(The High Priestess)のカードに描かれた2本の柱(BとJ)は、カードの象徴性を深める重要な要素です。以下のような解釈が考えられます。
1. ソロモン神殿の柱(ボアズとヤキン)
この2本の柱は、旧約聖書に登場するソロモン神殿の入り口にあった柱を指しています。
B(Boaz / ボアズ) →「強さ(Strength)」「受動性」「陰」
J(Jachin / ヤキン) →「確立(Establishment)」「能動性」「陽」
この2本の柱は、カバラの「生命の樹」の構造にも関連し、陰陽のバランスを象徴しています。
2. 陰と陽、二元性の象徴
女教皇は「隠された知識、直感、神秘」を司る存在であり、2本の柱は世界のあらゆる二元性を示します。
白(J)と黒(B) → 善と悪、光と影、意識と無意識、男性性と女性性
現実(陽)と潜在意識(陰)
論理と直感
女教皇はこの二元性の間に座り、調和を司る存在です。
3. 生命の樹における「厳格」と「慈悲」
カバラの生命の樹では、2本の柱は次のように対応します:
B(ボアズ) → 厳格(ゲブラー / Geburah) … 制約、裁き、規律
J(ヤキン) → 慈悲(ケセド / Chesed) … 寛容、拡張、恩寵
女教皇は、この2つの力の間に座ることで、調停者(調和の存在)として機能します。
4. 神殿の門、知識の守護者
女教皇が座る場所は神秘の領域へと続く門の前になります。
彼女の後ろにはヴェール(幕)があり、その先には秘密の知識が隠されています。
2本の柱は、この神秘の世界への門の役割を果たし、簡単には通過できないことを示しています。
5. タロットの大アルカナの流れにおける役割
女教皇のカードは「愚者の旅」の中で、「意識の外側にある知恵」や「無意識の世界」とのつながりを学ぶ段階になります。
2本の柱の間に座ることで、「この世界と霊的な世界の境界に立つ存在」として描かれています。
まとめ
ウエイト版の女教皇の2本の柱は、陰と陽、二元性、生命の樹、神秘の知識の門など、多層的な意味を持ちます。
女教皇は、これらの二元性の間でバランスを取り、知識の門番として、霊的な真理を探求する人々に対して、その知恵を試す存在でもあります。女教皇が座る場所は、単なる入り口ではなく、知識と真理を求める者に対して試練を課す門になります。知識の貯蔵庫や無意識の領域に入るためには、二元性を理解し、バランスを取ることが求められると読むことが出来ます。
2本の柱が示すのは、「誰でも容易に通れるわけではない」という制約を意味しています。
知恵を得るには、探究心と相応の覚悟が必要であることを表しています。「狭き門」を通る資格を持つ者だけが、ヴェールの向こう側に進めるということでしょう。
もし恋愛タロットで女教皇を得たら
恋愛タロットで女教皇が出た場合、「難しい恋」と解釈できることが多くなります。
女教皇が示す恋愛の特徴
精神的なつながりが重視されます。
感情や情熱だけではなく、知的・霊的な結びつきが重要になります。
片思いやプラトニックな関係になり易いと読むことが出来ます。
恋愛への慎重な姿勢
すぐに進展せず、お互いを深く知る時間が必要になります。
相手が受け身で、行動に移さない可能性があります。
秘密の恋・距離がある恋
既にパートナーがいる場合は、秘密の恋を意味することがあります。
遠距離恋愛や、なかなか会えない関係と読むこともあります。
試される関係
信頼や理解が試される可能性があります。
感情だけで動くと、うまくいかないと読むことが出来ます。
知的なアプローチが求められる
感情的になるより、冷静でいることが重要になります。
言葉よりも、内面的な理解が鍵になるかも知れません。
恋愛で「女教皇」を引いたときのアドバイス
焦らず、時間をかけること。感情を爆発させるより、冷静な態度が大切でしょう。
相手が慎重なら、無理に押さず、信頼を築くことが重要なポイントになります。
精神的なつながりを意識し、知的な会話や共通の価値観を大切にしましょう。
女教皇のカードに描かれた2本の柱を「狭き門」と考えると、突破するには相応の覚悟がいる恋愛になるかもしれません。しかし、慎重に進めば、深い絆を築ける可能性があります。