プロローグ
それは、何の変哲もないスーパーマーケットでの出来事だった。
レジへ向かう途中、ふと視線を感じた。遠くにいるはずの女性が、圧倒的な存在感を放っていた。10メートル以上離れているのに、まるで目の前にいるかのような「圧」を感じる。
“この人間は……何かが違う。”
直感が警告を発していた。
彼女は目立つ存在ではなかった。落ち着いた品の良い服装、ゆったりとした歩調、そして買い物をしているごく普通の主婦にしか見えない。しかし、彼女の周囲の空気だけが異常だった。人々が自然に彼女を避けるように動いているのに、誰一人としてそれに気づいていない。
まるで……”見えない結界”が張られているかのように。
足がすくんだ。いや、この場にいること自体が危険な気がした。
（逃げたほうがいい……）
強烈な警戒心が頭を支配し、私は踵を返した。レジへ向かう予定を変更し、別の出口へ向かう。しかし、ほんの一瞬、彼女の視線と交差した。
その瞬間——
私は「見られた」と確信した。
彼女の瞳には、まるで深遠な闇が広がっていた。表情は変わらず穏やかで、何一つ敵意を感じさせない。それなのに、心の奥底で警鐘が鳴り響く。
『この人間は、普通ではない——』
スーパーを飛び出した後も、背筋に残る圧倒的な違和感。逃げ切ったはずなのに、心はどこか空虚だった。
「……今の、何だったんだ？」
調べてみると、彼女は有名な政治家の妻だった。選挙が近づいているため、夫の選挙区で活動していたらしい。しかし、私が感じた「何か」は、単なる有名人のオーラではない。
この出会いは、単なる偶然ではなかったのではないか？
この世界の裏には、何か別の支配構造が存在するのではないか？
そして、彼女のような「普通の人間ではない者」が、他にもいるのではないか……？
私はまだ、この世界のほんの一端にしか触れていないのかもしれない。
タロット占いの結果
カードを3枚引きました。それぞれの意味を考察してみましょう。
「彼女（政治家の妻）の本質」 → 女教皇（The High Priestess）
彼女は 「知識・秘密・隠された真実」 を象徴する存在かも知れません。
「表に出ない力を持つ者」「裏から影響を与える者」 という解釈が出来ます。
人前に立つ政治家の夫とは対照的に、彼女は知的で神秘的な存在であり、真の決定権を握っている可能性が高いでしょう。
もしかすると、 「見えない世界（異次元、秘密結社など）とつながる者」 だったのかも知れません。
「この遭遇が持つ意味」 → 愚者（The Fool）
「新しい旅の始まり」「無垢な視点」「未知への扉」 を示すカードになります。
この遭遇が、亡くなった状態から活動出来るほど蘇った美しい人に「新たな視点」を与えた ことを示唆しています。
「この世界には、普通の人間ではない者がいる」 という気づきが、これからの視点を変える可能性があります。
「もし今後、またこのような存在と遭遇したら？」 → 女教皇（The High Priestess）
再び「女教皇」が出たのは、非常に重要なサインになります。
「この存在と同じような者が、他にもいる」 ことを示唆しています。
つまり、今後も「普通の人間ではない者」に遭遇する可能性は十分にあります。
ただし、女教皇は「冷静な知性」「客観的な視点」を象徴するため、今後同じような体験をしても、 感情的にならず、観察者として対処すべき というメッセージかも知れません。
タロットから導かれる物語の方向性
「女教皇」と「愚者」という2つの象徴が出てきたことから、以下の要素を物語に組み込むのが良さそうです。
美しい人（愚者）が、日常の中で「異質な存在」に遭遇し、新たな世界への扉を開きます。
その異質な存在は、「表には見えない支配者（女教皇）」のようなものかも知れません。
美しい人は一度は逃げるが、その後も「この種の存在」に遭遇する可能性があります。
最終的に、「この世界の隠された真実」に触れてしまうでしょう。その真実とは、鬼子母神女王かも知れません。