失敗していないのに消耗している、その感覚から始まる話です。
①、ちゃんとやっているのに、疲れてしまう
普段はちゃんとしているのに、
なぜか同じところで疲れてしまうことがあります。
大きな失敗をしたわけでもなく、
手を抜いているつもりもない。
周囲から見れば、
それなりにうまくやっているように見えるかもしれません。
それでも、
何かを終えたあとに残るのは、
達成感よりも消耗感だったりします。
たとえば仕事で、
「自分がやったほうが早い」
「自分が抜けると回らない」
そう思いながら役割を果たしたあと、
なぜか気力だけが削られているような感覚です。
人間関係でも、
場が滞らないように気を配り、
相談を受け、調整役に回ってきただけなのに、
帰り道で理由の分からない疲れが残ることがあります。
「ちゃんとやったはずなのに」
「役には立っていたはずなのに」
そう思いながら、
理由のはっきりしない消耗だけが残る。
②、なぜ、まず自分を疑ってしまうのか
そんな感覚は、
決して珍しいものではありません。
そういう疲れを感じるとき、
多くの人は、まず自分の姿勢を疑います。
「もっと頑張らなければいけなかったのかもしれない」
「自分には、まだ何かが足りないのではないか」
あるいは、
「役に立てていない自分が悪い」
「価値を示せていないのが問題なのだ」と、
静かに自分を責め始めることもあります。
でも、
ここで一度立ち止まってみてください。
それは、
努力や気合が足りないからでも、
性格に問題があるからでもありません。
③足りなかったのではない、と思ってしまうとき
この消耗は、
あなたの能力や姿勢の問題ではありません。
問題があるとすれば、
力を入れ続けている位置のほうです。
それは、
「役に立っている自分でいなければ、
ここに居られない」と感じやすい場所。
仕事で言えば、
成果を出すこと、
期待に応えること、
周囲の負荷を引き受けることが、
そのまま自分の居場所と結びついている位置です。
そこは、
間違った場所ではありません。
これまで、あなたが信頼を積み重ね、
組織や関係を支えてきた場所でもあります。
ただ、
その位置に立ち続けるには、
常に「役割」を果たし続ける必要があります。
少し立ち止まることも、
力を抜くことも、
「役に立たない時間」を持つことも、
自分の立場を揺らがせてしまうように感じやすい。
だから、
無意識のうちに力が抜けなくなる。
消耗は、
その構造から起きています。
④消耗が起きていたのは「位置」だった
そうだと分かっていても、
その位置から離れるのは簡単ではありません。
なぜ抜けにくいのか。
なぜ、そこから動けなくなるのか。
その位置に留まり続けてしまうのは、
あなたが弱いからではありません。
そこに立っていると、
・自分の存在理由が分かりやすい
・周囲との関係が安定する
・「何をすればいいか」が明確になる
そうした安心が得られるからです。
「役に立つ自分」でいることで、
迷わずに済む。
疑われずに済む。
自分の居場所を説明しなくて済む。
その分、
少しずつ消耗していくことに
気づきにくくなります。
⑤立ち方を、少し変えるという選択
その位置に立ち続けてきたことは、
間違いではありません。
役割を果たし、
期待に応え、
周囲を支えることで、
あなたは確かに場を成立させてきました。
ただ、
それが「ここに居ていい理由」そのものになっていたとしたら、
消耗が起きるのは、自然なことです。
役に立つことと、
ここに居ていいことは、
本当は同じではありません。
成果や評価から少し離れても、
関係がすぐに崩れるわけではない。
立場が、すぐに失われるわけでもない。
ほんのわずか、
力の入れ方をずらすだけで、
同じ状況でも、消耗の仕方は変わります。
今すぐ何かを変える必要はありません。
役割を降りる必要も、
答えを出す必要もない。
ただ、
「役に立っていなくても成立する位置がある」
と知っておくこと。
それだけで、
これまでとは少し違う立ち方が、
選べるようになります。