不安が消えるまで動けない人に起きていること

不安が消えるまで動けないときに、起きていること
やろうと思っていることがあるのに、なかなか手をつけられない。

必要な資料を集めて、
情報を調べて、
手順を整理して、
頭の中で何度もシミュレーションする。

準備は進んでいるのに、
「始める」だけが来ない。

もう少し安心できたら。
もう少し確信が持てたら。
もう少し不安が減ったら。

そう思っているうちに、時間だけが過ぎていく。

これは怠けではありません。
やる気がないわけでもありません。

むしろ逆です。

真面目で、責任感があって、
失敗を避けようとしている人ほど、
この状態に入りやすい。

この話は、その構造についてです。

今回扱う固定点

今回扱う固定点は、これです。

「不安は消してから動く」

不安がある状態では動いてはいけない。
安心できてから着手すべきだ。

この位置に立っていると、
不安は“停止信号”になります。

不安が出ているうちは危険。
だから、まずは不安を減らす。

準備を増やす。
確認を増やす。
想定を増やす。

それ自体は間違いではありません。
準備が役に立つ場面は多い。

ただ、不安が行動の許可証になっていると、
消耗が始まります。

吸い込みが始まる瞬間

この固定点が強くなるのは、こんなときです。

・新しい仕事を任されたとき
・公開や発表を控えているとき
・失敗が目立ちそうな場面
・計画を立て始めた瞬間
・「これで本当に大丈夫か」と思ったとき

不安が少しでも出ると、
頭はこう動きます。

「もっと準備しよう」
「念のため確認しよう」
「抜けがないか見直そう」

不安を消すために、行動する。

ここまでは自然です。

でも、準備を増やすほど、
新しい不確定要素が見えてきます。

「あ、このケースは?」
「もしこうなったら?」
「ここが弱いかもしれない」

準備が進むほど、想定も増える。

想定が増えるほど、不安も増える。

そしてまた、準備を増やす。

ブラックホールの仕組み

この循環が、消耗の正体です。

不安 → 準備 → 想定増加 → 不安増加 → さらに準備

本来は不安を減らすために始めた準備が、
不安を常駐させる装置になる。

動く前に疲れる。
動く前に消耗する。

あるいは、
期限が来て、
準備が完全でないまま一気に飛ばす。

どちらにしても、
終わったあとに残るのは達成感より疲労感です。

消耗の正体は、不安ではない

ここで大事なのは、不安そのものを悪者にしないことです。

不安は危険を知らせる機能です。
未来を想定し、リスクを減らす力でもあります。

問題は、不安があると動けない位置に立っていること。

不安がゼロになるまで、
行動を保留していること。

不安が消えるのを待っている間、
時間もエネルギーも消費されます。

そして現実には、不安が完全にゼロになる瞬間は、
ほとんどありません。

「安心してから」が続く理由

なぜこの位置から抜けにくいのか。

それは、不安を消してから動くほうが、
一見、合理的に見えるからです。

万全の準備。
十分な想定。
抜けのない計画。

これが整えば、安全。

でも現実は、
動かないと分からないことのほうが多い。

情報は、動きながら増える。
状況は、動くことで変わる。

不安が消えてから動くのではなく、
動くことで不安が変化する。

順番が逆転しているだけで、
消耗の量は大きく変わります。

立ち位置をずらす

ここで必要なのは、
無理に楽観的になることではありません。

「なんとかなる」と思い込むことでもありません。

やるのは、小さな位置の変更です。

不安を消すのではなく、
不安と共存したまま動ける最小単位を定義する。

全体を終わらせる行動ではなく、
結果を出す行動でもなく、

情報が一つ増える行動。

たとえば、

・資料の見出しだけ確認する
・依頼者に質問を一つ送る
・ファイル名を作って保存する
・冒頭の一文だけ書いてみる
・期限を仮置きしてみる

小さすぎていい。

失敗にならない行動。
やめても損失がない行動。

不安があってもできる行動。

ずらしの最小文

不安が消えるのを待つのではなく、不安があるまま動ける最小単位を作る。

ずれた後に起きること

この視点を持っても、不安は消えません。

でも、動ける。

動くと、情報が増えます。
情報が増えると、見通しが育ちます。
見通しが育つと、不安の質が変わります。

不安がゼロになるのではなく、
具体的な課題に分解される。

漠然とした不安は重い。
分解された不安は扱える。

その違いだけで、消耗は減ります。

ここでやっていること

ここでやっているのは、
勇気を出す話ではありません。

固定されて消耗している一点から、
ほんの一歩ずれるための言語化です。

不安は消さなくていい。
安心も完全でなくていい。

ただ、不安を“停止信号”にしない。

それだけで十分です。

最後に

もし、
「もう少し安心できたら」と止まっていたなら、

今日はすべてを解決しなくていい。

不安があるままでいい。

そのままでもできる最小の一手だけを、
頭の中に置いておく。

それだけで、
位置は少し変わります。

不安が消えてからではなく、
不安を連れて動く。

そこから、少しずつ変わっていきます。

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